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里美さんの裁判を支える会ニュース7号

【一部逆転勝訴!棄却部分は11/14に上告!さらにご支援を!】

 11月4日、大阪高等裁判所202号法廷(大法廷)の傍聴席はいっぱいになり、2分間のテレビ撮影のあと、判決主文が読み上げられました。
 「1,原判決中、被控訴人Aに関する部分を次のとおり変更する。
  2,被控訴人Aは、控訴人に対し、100万円及びこれに対する…
年5分の割合による金員を支払え。…」
 原審では、まったく認められなかった里美さんの訴えが、一部ではあれ、認められた瞬間でした。裁判所は、里美さんに対する加害者Aの最初の暴行の違法性を認め、損害賠償をすべきと判断したのです。


 一番大事な点で、原審を覆したことは、大きな意義があると思います。署名やカンパ、傍聴など、応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。しかし、継続した性行為の強要やJR西日本会社の責任は一切認めないという点で、まったく不十分で不当な判決です(詳しくは、後の紙面をご覧ください)。 
里美さんは、自分の顔を出して、社会に訴える決意をし、この日の記者会見にも臨みました。そして11月14日付けで棄却された部分について上告受理申し立てをしました。みんなの知恵と力を出し合って、上告審の厚い壁を破っていきたいと思います。性暴力犯罪の加害者も被害者もなくしたい!その里美さんの思いとたたたかいに、さらに大きなご支援をお願いします!


【争点と判決内容要旨】

(1)加害者Aの不法行為責任。
①     2007年11月22日の会社の旅行の解散後に、加害者Aが、上司の地位を利用して里美さんを無理矢理誘って酒を飲ませ、帰るとだましてタクシーに乗せ、ホテルに連れ込んだ。そこで、カミソリをもって性交渉(1)を強要し、里美さんをPTSD・鬱病に罹患させた不法行為責任。


②     ①の事件のあと、「会社に言ったら契約更新はないぞ」などと脅して、継続した性交渉(2)を強要した不法行為責任。

(2)JR西日本会社の使用者責任。
①     1)の事実関係確認義務を尽くしていない。
②     上司の地位を利用したセクハラ・パワハラの成立。
③     里美さんが事件を告発したことに対する、仕事を与えない、加害者側にたって事件隠ぺい、セカンドレイプとも言える対応をしたセクハラ相談室の対応などの不利益扱禁止義務違反。

原審

加害者の「合意だった」との主張を採用、里美さんの請求をすべて棄却。

控訴審判決

(1)の①→違法性を認定
◆「…重い障害があって抵抗することが極めて困難な控訴人に対し、同被控訴人が控訴人への深い愛情をもって本件性交渉1に臨んだのではなく、性的欲望の赴くままに性欲のはけ口としてこれらの所為に及んだと認めるのが相当であって、これに反する被控訴人Aの原審本人尋問における供述や陳述書の記載は信用できない。」
◆しかしPTSDについては、「恐怖心」を原審法廷で供述していない、会社の聴取等に対して、心理的抵抗を感じている様子もなく被害状況を話している、という理由で認めず。

(1)の②→棄却
事件後の一見親しげなメールの文面等を根拠に「恋愛関係になった」「同意でないとはいえない」と判断。

(2)→①②③とも棄却
勤務時間外である、「不適切な発言がみられるものの」丹念に必要な調査をした。啓発はしている。職員の差別発言は「悪意かどうか不明」。仕事量減少は「体調に配慮」と会社主張を採用。責任を一切認めず。

【来年2月19日、上告審にむけた集会に集まってください!】
 上告審は、「憲法違反がある」など、受理してもらうだけでも、大変な要件があります。これまでよりもっともっと大きな知恵と力が必要です。上告審にむけた集会を行います。ぜひ、集まってください!(会場は未定。決まり次第掲示します)

判決について、弁護士のお二人からのコメント
       ※紙面の都合で、内容の重なる部分については、一部省略し、要約させていただきました。


池田直樹弁護士 
判決文は、里美さん障がいの重いことを引用して、最初の加害者Aの行為を違法と認めました。そして、一応上司であり、ある程度の親近感はあっただろうが、恋愛感情までには至っていなかったと、里美さんの内心に踏み込んだ上で、Aの行った行為を、同意のもとだとすることはできないと認定しました。「卑劣」という言葉も使っています。この点は一つの成果だと思います。
2回目以降のAの行為については、メールやプレゼントなどの外形的な行為から内心を推察する形で、里美さんにも恋愛感情があり、同意があったと認定してしまっています。そこから1回目の卑劣な行為も、ある程度責任は軽くなっていると評価して、100万(慰謝料90万、弁護士費用10万)としたのではないかと思います。
 JRの調査義務、セクハラ相談室の対応については、会社による聴取の録音を再生したりなどして提出しました。セクハラ相談室による聴取は、被害を受け付けて救済するという立場ではなく、問いつめて一定の答えを求めるようなスタンスで問題だと言ってきた訳ですが、裁判所は「不適切な発言はあるが、一応調査をつくした、違法とまでは認めない」としました。結局JRの責任は、ゼロのままでした。
 それから、JRの使用者責任という民法の715条の責任も認めませんでした。判決文の中の使用者責任に言及したのは、わずか半ページ。すべてアフターファイブのプライベートな問題だという片付け方については、分析して検討する必要があると思っています。
 障がいをもつ女性が働き続けるということが、どれだけ決意のいることか。少々のいじめとかあっても、そこは頑張って自分で切り抜けていくしかないという、その彼女なりの強さみたいなものが、機嫌をとるようなメールになり、被害の認定を難しくしてしまっている怖さがあります。
 しかし、まだまだ道のりは遠いけれど、日本の社会で障がいをもつ女性の地位をきっちり確立させていく。おそらくそのために、里美さんはこれからもたたかい続けるだろうと思います。




島尾恵理弁護士 
メールの壁は厚かったというのが、一番です。他のセクハラ事件でも、力関係がハッキリしていて、機嫌を損ねてはいけない事情があればあるほど、加害者の言ってほしいことを先回りして読んで、愛情めいたメールを送ってしまう。なかなかそれを乗り越えて良い判決を勝ち取るというのは難しいのが現状です。今回もメールが事実を語ったものだという前提の判決になってしまったのは、本当に残念です。
 強姦事件の損害賠償の事案だと、2~300万位の慰謝料を認められるケースが多いのですが、この事件では、刃物を手に迫るという、ひどい態様で行われたにも関わらず100万。恋愛関係になったでしょ、許してるよねって、裁判官が内心は思っているのが伝わるわけですが、人の精神的な痛みを理解しようとしない裁判所に怒りを感じます。
 使用者責任についても、社内旅行の段階でキスされたりしているというカルテの記載を判決は引用してるのに、「事業の執行」に伴うものとしていないのは、どうなのかと思います。
 PTSDについても、命の危険を感じた、回避行動があるという2つの要件を里美さんは満たさないと判断されました。だけど、刃物をもって迫られる、抵抗できないで。命の危険を感じないなんてあり得ないことだと思います。控訴審ではいっぱい書いているし、里美さん自身、意見陳述で、事件があってからJRのロゴを見るのもJRに乗るのもつらい、身体がふるえるほどだ、事件を思い出させることがあると、とたんに心身の不調をきたしてしまうと述べています。なのに「一審の訴状に書いていなかった」「尋問で怖かったと言ってなかった」ということで、PTSDを認定しませんでした。
 それから、「回避行動がない」と判決は言うのですが、こんなこと言い出したら、PTSDになった人は、被害を訴える機会を奪われることになります。裁判に訴えて救済を求めるとなると、被害に至った状況を事細かにどうしても言わなくてはいけない。我慢しながら訴えて述べてるのに、ほら抵抗なく語ってるじゃないの、回避してないよねっていうのが、今回の判決なんです。これってPTSDの人は黙っとけって言ってるに等しいですよね。ほんとに怒りを禁じえないところです。
 今後、上告する方向で考えています。上告審では、法テラスの立て替え制度を利用するための要件として、勝つ見込みがあるってことを言わないといけません。それが認められなければ、15万くらいの弁護士費用と印紙代を払わなくてはいけません。また、いろんな意味で皆さまのご協力をお願いすることになるかも知れません。どうそよろしくお願いいたします。
 一審は、里美さんが1人で闘わないといけませんでした。でも控訴審は、こんなにたくさんの人が支援してくださって、心持ちとしては全然違うものがあるだろうと思います。私も皆さんがこれだけ応援してくださってるというのがあると、がんばらなきゃって思いますし、ぜひ上告にむけても力をお貸しいただきたいと思います。




里美さんから皆さんへ(判決直後の集会での発言要旨です)

たくさんおあつまりいただき、ほんとうにありがとうございます。
今日の判決で、一部私の訴えが認められました。一審の時は全く認めらません
でしたので、その時に比べたら、非常に嬉しい結果が出たと思っております。
しかし、会社の責任等については、認めてくれなかった。
十時間もの(会社による聴取内容の)録音の書き起こしを提出したにも関わらず、「対応は不適切だったけれども」という言いつつ、責任を認めようとしない。これには私も、深く深く憤りを感じています。まだ詰めた話はしていませんが、上告という形で、もう一回、たたかってみようと思っています。
PTSDの件に関しても、今回裁判所は、一切認めてくれませんでした。私がPTSDの患者らしくないっていうふうに言われてるんですけど、私がなぜ裁判を起こしたかって言うと、一つはPTSDを治したかったからです。ほんとは、逃げたいんです。向き合いたくないんです。でも、逃げてばっかりいたら、治りません。自分で乗り越えていかないと、PTSDは良くならないと思います。今度上告審で、先生方と相談して、そういったことも含めて、主張していけたらなって思います。
 性犯罪被害者が日本の社会では、堂々と生きられない、そういう現実があります。ましてや障がい者の場合は、特にそう。私はそれを変えたいと思っています。
たとえ性犯罪被害者の方であっても、背筋をのばして、堂々と生きたらいいと私は思います。悪いのは、加害者です。加害者がいなければ被害者は生まれません。自分のことを責めないでほしい。自分の命を自分の手でなくすことはしないでほしいと思います。必ず味方になってくれる人はいます。安心して堂々と生きてくださいとお願いしたい。
私は一審の時が1人だったので、今こうやってこれだけ多くの方々に支えてもらってるというのは夢のようです。皆さんの気持ちが、私を支えてくれています。私が前に進める勇気をくれています。
私も何回も何回も死にたいと思ってここまでやってきました。でも死ななくてよかったです。皆さんのおかげです。ほんとうにありがとうございます。そしてこれからもどうぞよろしくお願いします。




判決後の集会での発言と里美さんへのメッセージより
※発言とメッセージをあわせて、その一部の要旨を紹介します。他にもたくさんのメッセージ、ありがとうございました。
◆兵庫のOさん:一部勝訴、裁判所が、たしかにレイプだったんだと認めたことは大きかったと思う。このあとどういうふうに判断していくか、里美さんの決断に従っていこうと思います。


◆広島のHさん:こんなひどいことが、なかったということにされるなんて、女性として、人間として許せないと思った。今日一部勝訴は、当然。そして、当然加害者がクビにならなきゃいけないと思う。応援していきたい。JR西日本には、企業として二度とこんなことが起きないようにしてほしいと思う、させなきゃいけないと思う。


◆京都のMさん:私もセクハラ・パワハラの暴力を受け裁判をしています。判決の内容があまり良くなかったけれど、加害者側が100万円出すという事は、少しだけ進歩できたと思う。ずうっと応援しています。里美さん、頑張りすぎないでたまには休息してくださいね。


◆香川のTさん:こんなに辛いこと、恐ろしいことが起きるなんて、本当に信じられない。加害者も、会社の対応も、何もかも許せないことばかりです。メールとか、表面的なつきあいとかばかりがとりざたされて。そのとき里美さんがいやだったらそれは犯罪行為だと思うんです。メールをなかったことの証拠みたいに言うこと自身が、里美さんへの暴力だと思うんです。上告って、大変なことだと思うんですけど、これからも応援していきたいです。


◆友人のSさん:里美さんとは古いつきあいで、以前職場の同僚でした。ボイスレコーダーで書き起こしをお手伝いさせてもらいました。昔からのつきあいもあって、できることならと引き受けたました。あれが役に立ったと聞いて、よかったなと思いました。上告のことも聞いてます。引き続き、できることから、支える力をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。


◆滋賀のOさん:JRのセクハラ相談室の持っているあまりにもひどい体質について、陳述書を書かせていただきました。私が訴えていることがまったく今回の判決に生かせてもらえず、世間の常識がまったくJRにも、裁判所にも通用しないということが今さらながら分かって大変悔しい思いをしています。セクハラというのは、アフターファイブで起こってもセクハラ。だから、加害者の犯罪行為を認めるのなら、アフター5で起こったことも、JRの責任は当然問われるわけです。だから今回の判決は、すごく矛盾をはらんでると思っています。今日の記者会見では、里美さんは堂々と自分の意見を言えて、私は本当に尊敬をしています。


◆大阪のWさん:私は、旧国鉄で、臨時雇用員で働いていたけど、分割民営化の前に一斉に解雇され、裁判をしています。JRも当時の国鉄と企業体質も労務管理の仕方も一緒。男性中心の職場の中で、非正規の女性というのは本当に働きづらいんですね。権限をもっている職員だけじゃなく、一般の職員でも何かあれば「お前なんかすぐクビにしたる」っていうのが簡単に出るような企業体質なんです。JRに対して、女性や非正規、障がい者への差別を許さないという声をあげた里美さんに、少しでもエールを送っていきたい思います。今日は、一つでも事実を認めさせたことは大きいですし、JRを追及していく材料が残されていると思います。ぜひ検討してください。


◆友人Rさん:里美さん、一部勝訴おめでとうございます。それはとっても嬉しいんですけど、彼女って、人から見たら強く見えるんですけど、実はガラス玉のようにナイーブで繊細な部分をいっぱい持ってるんです。彼女が高校生の時からずっと見てきたから心配で心配で。強いばっかりじゃないんです。それを皆さんにわかってほしい。


◆兵庫Tさん:Aがやめずに里美さんが経済的にも困窮する、職を失い補償もあまりない。なぜ当然の人権が守られないのか、わからない。恋愛といえば何でもOKという風潮には抵抗し、今後変えていかねばならない。恋愛信仰がいかに危険か、いかに男性に好都合かを告発していかないといけない。性教育も充実して知る権利を得なければならない。無法地帯を変えていかないといけない。


◆Kさん:どんな状況であれ、里美さんが差別と戦い続けた事はすごい事だと思います。これからも里美さんと同じ障害者として、連帯していきたいと思います。


◆大阪Mさん:里美さん、長い間お疲れ様でした。そして(一部)勝訴おめでとうございます。今日は、どうぞちょっと一休みしてご自身をいたわってくださいませ!里美さんからたくさんの元気と勇気をもらいました。本当にありがとうございます。これからも応援いたします。がんばりましょう!!!すべての性暴力を許さない。


◆Oさん:大きな会社、大きな権力は何をしてもいい、それが当たり前だと思っています。里美さんの勇気に感心します。これからもがんばって下さい!

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コメント

すてきな会報だった。数日前、落手して、はじめて読んだとき、泣けた。いったいどういうやつが、編集しているのだろうと、あれこれ考えたものだ。千葉や福岡、大阪やから、いろんな会報が来る。しかし、里美さんのやつほど、心を打たれた会報ははじめてだ。先月、高名だがひどくつまんないルポ作家と取材に出て、すってんてんもいいところなので(鼻血も出ない惨状だ)、すぐにはカンパは出来ないが、振り込み用紙は机の前の柱にピン留めしているので、なにがしかの収入にありつけば、必ず振り込む。何としてもみんなのちいさな力を集めて、大きくガンバロウ!!

投稿: 田中洌 | 2011年12月 1日 (木) 18時40分

ツイッターでこの事件のことを知りました。
私は、DVの被害者です。とんでもない蓄財のいいがかりをつけられて、離婚裁判を起こされ、高裁まで
いきました。

PTSDは2日の意志の診断書と意見書がでましたが、
認められませんでした。今も苦しんでいるのに。

日本の司法は女性が受ける暴力に対しての判断が
おかしいと思います。

血を吐くような思いで陳述書を書いても、
それを書くだけの元気があるんだろう、
本人尋問に精神安定剤を倍量飲んでのぞんでも
冷静に証言できるくらい元気なのだろうと
ダブルバインドにおかれる。ほんとうに理不尽
です。

里見さんの勇気ある態度に心からの拍手を
送ります。

投稿: バーバラ | 2012年6月16日 (土) 19時05分

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